集落のかたち

最終更新日:2015.03.27

沖縄の伝統的な集落というと、赤瓦屋根や石積み、フクギ並木などを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。観光地としてよく知られた竹富島の集落は、その典型的な事例となっています(写真1)。

竹富島の集落は、石積みによって囲まれた家屋が小道に沿って密集しているのが特徴です。グスク時代の遺跡として著名な石垣島のフルスト原遺跡では、これとよく似た形態の、石積みによって囲まれた建物跡が検出されており(写真2)、こうした集落の形態は、八重山諸島ではグスク時代までさかのぼるのかも知れません

  • 写真1 竹富島の伝統的集落

    写真1 竹富島の伝統的集落。

  • 写真2 フルスト原遺跡の石積遺構

    写真2 フルスト原遺跡の石積遺構

台湾の南方に浮かぶ島・蘭嶼(ランユウ)でも、こうした石積みからなる集落を見ることができます(写真3)。蘭嶼の住居は、沖縄と違って半地下式になっているのが特徴です。蘭嶼は台風の通り道にあたることから、強風を避けるためにこうした石積みによって囲まれた半地下式の住居が作られるようになったと言われています。

さらに南方の東南アジアでは、高床式の住居がよく見られます。インドネシア・フローレス島のほぼ中央に位置するベナ村では、モニュメントや墓が配された中央の広場を取り囲むように、高床式の住居群がめぐっています(写真4)。日本の縄文時代にも、「環状集落」と呼ばれる中央広場をもつ集落があったことが知られていますが、ちょうどそれとよく似た形態の集落だと言えるでしょう。

  • 写真3 台湾・蘭嶼の伝統的集落

    写真3 台湾・蘭嶼の伝統的集落

  • 写真4 インドネシア・フローレス島・ベナ村

    写真4 インドネシア・フローレス島・ベナ村

こうした伝統的集落と比べて現代の集落はどうでしょうか。交通機関の発達していなかった前近代と違って、現代は自動車や電車などの交通機関が著しく発達しています。数十年前に近くの村から住民が移転して新しく作られたという、ベナ村近くの村(メンゲ・ルーダ)では、碁盤の目状に道が通り、建物は道に沿って配置されています(写真5)。

県立博物館のある那覇新都心も、新しくできた町ですが、やはり整然とした都市計画が行われ、碁盤の目状に走る街路に沿って建物が配置されています。このように集落の形は、地域や時代によっても大きく異なっていて、各地の集落を見て歩くのは面白いものです。一方、現代の「集落」は、どこでも似たような形になってしまっているのはすこし寂しいことですね。

写真5 インドネシア・フローレス島・メンゲルーダ村の様子

写真5 インドネシア・フローレス島・メンゲルーダ村の様子

主任 山崎真治

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